ご近所とのトラブルについて
その他 - ご近所とのトラブル
隣家の建築により日当たり・眺望が悪くなって困っています。
救済方法としては,①損害賠償請求(慰謝料請求等),②建物の建築工事の差止請求,③建物の撤去請求などが考えられます。手続としては,近隣間の紛争であるため,円満な話し合いによる解決が望ましく,まずは調停を申し立てるのが良いと思われます。しかし,話し合いができない場合には,訴訟による解決しかなく,また,現に工事が進行中で工事を差し止める必要がある場合には,建築工事差止めの仮処分を申し立てるという方法もあります。
日照が侵害されている場合,どのような場合に法的救済を得ることができるのでしょうか?
抽象的には,日照侵害の程度が社会生活上一般に受任すべき限度を超えた場合に違法となり,法的救済を求めることができます(受忍限度論)。では,受忍限度を超えたか否かについては,どのように判断されるのでしょうか。
この点,建築基準法上の規制に違反しているか否かが重要な判断要素となります。建築基準法では,①北側斜線制限,②日影規制という2つの規制を設けています。①北側斜線制限は,南側に建築される建物によって北側の日照が妨げられないように配慮した規制であり,第一種・第二種低層住居専用地域又は第一種・第二種中高層住居専用地域に限って適用され,北側の隣地境界線から,真南方向に勾配1.25/1の斜線を引き,それに低層住居専用地域内では5メートルを,中高層住居専用地域内では10メートルを加えたものを建築物の高さの限度とする規制です。②日影規制とは,冬至(日照時間が短く,太陽が最も低い=最も日陰になりやすい。)を基準に,一定範囲が日陰になる時間が一定時間以上とならないようにするための規制であり,詳しくは なお,帯広市は,種別欄の(二)を指定しています。
なお,建築基準法は,あくまでも公法的な規制であり,最低基準を定めたものですから,建築基準法に違反はしていなくとも,その違反の程度が規制ギリギリであったり,技術的にも経済的にも,付近住宅の日照の確保に配慮した設計が可能であった場合などについては,受忍限度を超えて違法とされる場合もあります。
隣地の土地所有者と境界について争いがある場合,どのように解決したらよいのでしょうか?
裁判所に対して,①境界確定訴訟を提起する方法,②所有権確認訴訟を提起する方法,あるいは,法務局の筆界特定登記官に対し,③筆界特定を申請する方法の3つの方法があります。通常は,①の境界確定訴訟を提起していくことになりますが,土地を筆界(「ひっかい」と呼びます。ある土地が登記された時にその土地の範囲を区画するものとして定められた線)とは別に一部時効取得したことが争点となる場合などには,②の所有権確認訴訟も提起する必要があります。なお,筆界特定制度の概略について。筆界特定制度は,法務局の筆界特定登記官が,筆界を特定し,これを一般に公開しますが,その判断には,当事者を拘束する法的効力まではありません。ただ,判断が示された以上,それで事実上境界紛争が解決する場合もあるでしょうし,また,後々本格的に訴訟を進めていく前段階として,資料収集のため活用するという方法もあります。
境界線はどのように立証するのでしょうか?
登記簿,分筆登記の申請書に添付されている地積測量図,不動産登記法14条地図(国土調査による地籍図,土地改良による確定図,区画整理による換地図),地図に準ずる図面(公図)の沿革,境界標識(境界木,境界石,杭),現況,占有状況,公簿面積の比率,塀や溝の位置等を総合して立証していくことになります。
隣家の屋根から雪や氷の固まりが落ちてきて,私の家の庭木を損壊し,困っています。どのような救済方法があるのでしょうか?
妨害予防請求権に基づき,隣人に対し,屋根に雪止めを設置することを請求することができます。