労働事件-未払い残業代 どのような場合に残業となるのですか?労働基準法...
労働事件-未払い残業代
どのような場合に残業となるのですか?
労働基準法32条では,使用者は,休憩時間を除き,1週間について40時間,1日につき8時間を超えて労働させてはならないと規定されており,時間外労働とは,これらの時間を上回って労働した時間をいいます。
この点,待機時間や仮眠時間等も労働時間と言えるのか問題となるケースがありますが,要は,労働者が使用者の指揮命令下(義務付けがある,労働から解放されていない)にあるか否かが判断基準となります。
なお,労働基準法は,使用者は,毎週少なくとも1回の休日を与えなければならず,この法定休日における労働(休日労働)や深夜労働(午後10時から午前5時の間の労働)に対しても割増賃金が支払われます。
管理監督者には,時間外労働や休日出勤に対する割増賃金の支払い義務に関する規定の適用が除外されることから(労働基準法41条),管理監督者と言えるか否かが争点となる場合もあります。例えば,判例では,マクドナルドの店長は管理監督者に当たらないと判断されました。
残業代はどのように計算されるのですか?
時間外労働に対しては,通常の労働時間又は労働日の賃金の25%以上の割増賃金,休日労働に対しては,35%以上の割増賃金を支払わなければなりません。この割増賃金の算定の基礎となる賃金については,家族手当や通勤手当は除外されます。
残業代(時間外割増賃金)=1時間当たりの給与×1.25×時間外労働時間数
未払い残業代等の請求権は,時効消滅しますか?
2年間で時効消滅しますし,使用者は,時効期間が満了した分については,通常,時効消滅を主張します。したがって,請求時から2年間遡った期間中に支給日がある分の未払い残業代等を請求していくことになります。
使用者には労働時間の記録を保存すべき義務があるのでしょうか?
労働時間の記録に関する書類(タイムカード等)については,3年間の保管義務があります(労基法109条)。
未払い残業代等を請求する方法として,どのようなものがありますか?
任意での示談交渉,労働基準監督署による是正勧告,労働審判の申立て,民事調停の申立て,訴訟提起等の方法があります。
強制的に未払い残業代等を取り立てる方法として,どのようなものがありますか。
確定判決や和解調書や調停調書等に基づき,使用者の不動産や預貯金や売掛金等を差押え,その財産から回収することができます。
また,給与等の労働債権は,一般先取特権として,他の一般債権者に優先して弁済を受ける権利が認められており,訴訟等を提起して債務名義を取得しなくとも,「担保権の存在を証する文書」として,例えば,雇用契約書,過去の給与明細,時間外労働が分かるタイムカードなどを提出して,いきなり強制執行をしていくこともできます。