労働事件について
労働事件
不当に解雇された場合
労働者を解雇するには正当な理由が必要であり,正当な理由のない解雇は,解雇権濫用として無効となります(解雇権濫用法理)。
また,会社の業績が悪いことを理由に整理解雇する場合にも,(1)人員削減の必要性があること,(2)解雇を回避するための努力が尽くされていること,(3)解雇される者の選定基準及び選定が合理的であること,(4)事前に,説明・協議義務を尽くしたことの4要件を満たしている必要があります(整理解雇の4要件)。
それ故,解雇に関する労働事件では,解雇の正当な理由があるか否か,整理解雇の4要件を満たしているか否かが争点となり,様々な事実を積み上げて,主張・立証していくことになります。
また,具体的な救済手続としては,まずは使用者側との話合いによる解決を目指しますが,それが難しい場合には,解雇の無効を主張し,賃金の仮払いを求める仮処分命令の申立(賃金仮払仮処分)をした上,未だに労働者であるとの地位の確認を求める訴訟(地位確認訴訟)を提起したり,あるいは,裁判官のみならず,労働関係に関する専門的な知識と経験を有する労働審判員2名(使用者側1名と労働者側1名)で審理をする労働審判の申立をしたりします。
残業代を払って貰えない場合
残業代を払って貰えない場合に,どのような救済方法があるのかが問題となります。
>>詳しくは
労災事故の被害にあった場合
基本的に交通事故による損害賠償請求と同様です。
違いがあるとすれば,交通事故の自賠責保険に相当するものが,労災事故では労災保険(労働基準監督署に請求をして補償を受けることができます。)であり,労災保険でまかなえない損害を加害者側に請求していくことになります。
また,労災事故は,労務中の事故であるため,加害者本人のみならず,その加害者を使用している会社等にも,使用者責任(民法715条)として,損害賠償を請求していきます。
職場でいじめ・パワハラ被害にあった場合
職場での上司からのいじめ・パワハラは,暴行,暴言,窓際族への左遷,村八分ならぬ職場八分など,種々の態様がありますが,時に,業務命令や人事権行使に関連して行われることから,どの一線を越えると法的に違法となるかは微妙な判断が求められます。
この点,抽象的には,平均的な心理的耐性を有する者を基準として,その行為の具体的な態様や目的,手段,双方の人間関係等を総合的に判断して決定されることになり,例えば,私情を交えていないか,人事考課は公平無私に行われているか,注意,叱責の度合いが社会通念に照らし許容されるものかどうかなどを評価していくことになります。
そして,違法ないじめ・パワハラと認められる場合には,そのような行為をした上司に対して,人格権の侵害を理由に損害賠償請求ができるのみならず,上司の使用者である会社に対しても,違法ないじめ・パワハラを防止すべき義務に違反していると認められる場合には,職場環境配慮義務違反を理由に損害賠償を請求していくことも可能です。